歩道を走る自転車のベル
この件に関してそんなもん歩道でベル鳴らした方が悪いに決まってるわさ・・・とまではいいませんが、どうも普通の方々は自転車のベルの扱いについて誤解してるよなと思うケースは多々ありますわな。
Yahoo!ニュース - <傷害>自転車の通行巡り口論 男性切られ、男逃走 大阪 より
12日午前11時半ごろ、大阪府豊中市神州町1の歩道で、同市内の男性会社員(38)と男が互いに乗車中の自転車の通行を巡って口論となり、男が男性の左腕をナイフで切りつけた。男は自転車で逃走し、男性は軽傷。府警豊中南署が傷害容疑で捜査している。 調べでは、男性が自転車のベルを鳴らして男を追い抜いたところ、男が自転車で約50メートル追いかけてきた。男が「なんで(ベルを)鳴らすんや」、男性が「なんやおっさん」などと言い合いになり、男がズボンのポケットからナイフを出してもみ合う間に男性は負傷したらしい。男は身長約165センチ、短い白髪で60歳ぐらい。白色ポロシャツ、茶色ズボン姿。
ナイフを出した段階で正当性はまったくなくなりますわな。それに自転車対自転車の事例ですし、ボクの言いたいこととちょっとずれるんでこの記事についてはこれ以上触れません
言いたいのは「歩道における歩行者と自転車の関係」についての道路交通法の規定です。まずは自転車関連の条文についてチェックしてみましょう。
道路交通法 より
(通行区分)
第17条 車両は、歩道又は路側帯(以下この条において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき、又は第47条第3項若しくは第48条の規定により歩道等で停車し、若しくは駐車するため必要な限度において歩道等を通行するときは、この限りでない。
2 前項ただし書の場合において、車両は、歩道等に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない。
上記条文の「車両」には、4輪乗用車や4輪貨物自動車だけではなく軽車両(自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のもの)も含まれます。(第2条8号参照のこと)
ですから、自転車は基本的に車道を通行すべきという規定になっていることがおわかりいただけると思います。
そして、
(軽車両の路側帯通行)
第17条の2 軽車両は、前条第1項の規定にかかわらず、著しく歩行者の通行を妨げることとなる場合を除き、路側帯(軽車両の通行を禁止することを表示する道路標示によつて区画されたものを除く。)を通行することができる。
2 前項の場合において、軽車両は、歩行者の通行を妨げないような速度と方法で進行しなければならない。
(罰則 第2項については第121条第1項第5号)
その上で路側帯が区画されている場合には歩行者の通行を妨げない範囲において通行してよいという規定となっています。
さらに、
(普通自転車の歩道通行)
第63条の4 普通自転車は、第17条第1項の規定にかかわらず、道路標識等により通行することができることとされている歩道を通行することができる。
2 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。
(罰則 第2項については第121条第1項第5号)
道路交通法では「自転車の交通方法の特例」という節を設けて、自転車の歩道通行に対して許可された歩道のみ特別の例外として通行を認めています。ただし、自転車が歩行者の進行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならないと、明確に進行妨害を禁止しています。
つまり歩道上の歩行者がいかに邪魔であっても(自転車の並進禁止の条文(第63条の5)はありますが歩行者の並進禁止規定はありませんので悪しからず)、その進行方向を変えさせる権利は自転車の側には認められていないのです。
ということで、歩道上で「邪魔だからどいてよ」とベルを鳴らす権利は自転車の側にはまったく許されていないのですよ。もし貴方が自転車に乗っていて歩道上で歩行者に前を塞がれたら、その後ろでじっと待って歩行者の好意で道を譲ってもらえるまでは我慢し続ける、というのが法に則った正しい態度だということを知っておくべきですね。
そもそも歩道上を走行速度の違う異種のものが混在している事がおかしいのであって、自転車は原則規定通り車道を走りなさいという人もいますが、車道を走れば走ったで4輪自動車の運転手から「邪魔くっさいなあ」と睨まれるのが関の山です。
行政がきちんと自動車・自動二輪走行帯、自転車走行帯、歩行者通行帯をそれぞれきちんと区分けすれば済むではないかとお怒りの向きもありますね(「博多区、60代、男性」のご意見)。確かに自転車ツーキニストの私も行政の怠慢は指摘されるべきと強く思いますが、それは全く次元の異なる話で、現行法令に対する適否という観点からは、残念ながらそういう方は自らの法令違反をまったく棚に上げてただ単に無知を晒しているだけということをぜひご理解ください。
ちなみに自転車のベルの使用ですが、
(警音器の使用等)
第54条 車両等(自転車以外の軽車両を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、次の各号に掲げる場合においては、警音器を鳴らさなければならない。
1.左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき。
2.山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき。
2 車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。
(罰則 第1項については第120条第1項第8号、同条第2項 第2項については第121条第1項第6号)
となっており、基本的には見通しの悪い箇所での使用のみが認められています。それ以外で危険防止のためやむを得ない場合も認められていますが、これは例えば「ブレーキが壊れて止まれないよー、危ないからみんな逃げてー、逃げてー」といった場合の使用という意味であり、けっして歩行者に(ちなみに今回引用記事の事件のように自転車相手であっても)「邪魔だ、どけ」という意味で使ってはならないという点にご注意ください。
おい、コラ、ババア、歩道上をチリンチリンとうるさくベルを鳴らしながら走るんじゃねえよ。
道路交通法違反で逮捕するぞ、このヤロー!
投稿者 青柳 洸 at 午前 07時22分 社会その03 | Permalink
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